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毒性ガスの定義 *追記あり

毒性ガスは 一般高圧ガス保安規則 (昭和四十一年五月二十五日通商産業省令第五十三号)の第二条第一項二号に定義されています。

一般高圧ガス保安規則 第二条第一項二号 毒性ガス 

  • アクリロニトリル
  • アクロレイン
  • 亜硫酸ガス
  • アルシン
  • アンモニア
  • 一酸化炭素
  • 塩素
  • クロルメチル
  • クロロプレン
  • 五フッ化ヒ素
  • 五フッ化リン
  • 酸化エチレン
  • 三フッ化窒素
  • 三フッ化ホウ素
  • 三フッ化リン
  • シアン化水素
  • ジエチルアミン
  • ジシラン
  • 四フッ化硫黄
  • 四フッ化ケイ素
  • ジボラン
  • セレン化水素
  • トリメチルアミン
  • 二硫化炭素

毒性ガスの混合ガスの場合(変更あり、次節参照)

毒性ガスが一部混合しているガスについては、明確な判断の基準が法令で示されてはおりませんが、「じょ限量が百万分の二百以下( 200ppm 以下)」かどうかが判断の基準となると思われます。

そもそもじょ限量とは

一般の人が有害ガス等を含んだ環境のもとで中程度の作業を1日8時間行い、かつ長期間継続しても健康に障害を及ぼさない程度の有害ガス濃度の限界をいう。

と、「高圧ガス保安法及び関係政省令の運用及び解釈について(内規)」に記されている。この量としては、 日本産業衛生学会が公表しているや米国の米国産業衛生専門官会議 (American Conference of Govermental Industrial Hygienists、略称 ACGIH)が公表している値を参照されることが多いです。日本産業衛生学会ではじょ限量に相当するものは、許容濃度と呼び、ACGIHではTLV-TWA (Threshold Limit Value Time Weighted Average)と呼んでいます。

どちらの組織においても、混合物の有害性評価については、下記のような式を提案しています。

     ∑( ci / ti )
     展開すると  c1 / t1  + c2 / t2 + ・・・ + cn / tn

    *ci :各成分の濃度
    *ti :各成分のじょ限量

この値が、1を超えると有害ということになります。

逆に、ここから、混合ガスの仮想的なじょ限量 tvを考えると、

       1 / tv = ∑( ci / ti )
       ⇔tv = 1 / ∑( ci / ti )

となり、tvを求め、これが200ppmを下回るかどうかで、毒性ガスかどうかの判断ができると思われます。

      例)CO 20% + N2 80%の場合
            COのTLV-TWA 25ppm
       tv = 1 / ( 0.2 / 25 ppm ) = 25 ppm / 0.2 = 125 ppm
       仮想的なじょ限量が 200 ppm 以下なので有毒ガス

毒性ガスの定義に変更がありました 2016.11.1

平成28年11月1日付けで、「高圧ガス保安法及び関係政省令の運用及び解釈について(内規)の一部を改正する規程」が制定(追加変更)があり、毒性ガスの定義が変わりました。

(2)一般高圧ガス保安規則の運用及び解釈について

第2条関係

第1項第2号中毒性ガスについて (新設)
毒性ガスとは、掲名するガスに加え、毒物及び劇物取締法(昭和二十五年法律第三百三号)第2条第1項で規定する毒物のうち、ガス(吸入)で評価された毒物であって、法第2条の定義による高圧ガスであるものをいう。
掲名するガス又は毒物及び劇物取締法第2条第1項で規定する毒物との混合物については、毒性ガスの曝露経路がガスによる吸入であって、その急性毒性(LC50)が500ppm(4時間)以下である場合のものを毒性ガスの対象とする。ただし、掲名するガスが50%以上の混合物については、毒性ガスとして扱うこととする。混合物の急性毒性の値の計算方法は、加重調和平均とし以下のとおりとする。

p = 100/ (n_1 / p_1 + n_2 / p_2 + ... + n_i \ p_i )

P :混合ガスの急性吸入毒性の値(ppm)
P_i:i 成分の急性吸入毒性(LC50)の値(ppm)。ただし、毒性の値を持たない
物質の場合は無限大とする。
n_i:混合ガス中の i 成分の濃度(%)

(注)毒物劇物取締法に規定する毒物のうち製剤にあっては、当該製剤を混合物として扱い、原体の急性毒性の値を用いて上記の計算方法により算出する。当該製剤と他のガスとの混合物の場合も同様。
また、LC50の値が、1時間値しか得られない場合には、国際連合化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)第3.1章急性毒性の注意書きに基づき、1時間での数値を2で割った値を4時間に相当する数値とする。

これにともない、医療用滅菌ガス(EOG 10%,20%,30% + CO2/B)は明確に毒性ガスではなくなりました。(ただし可燃性)

参考:EOG 20%の場合)
各成分のLC50の値が次のようになることが前提となります。(最新の研究の数値を使用する)
EOGのLC50 800ppm (吸入ラット)
CO2のLC50 167857ppm (吸入ラット)

p = 100/ (20(%, EOG) / 800 (ppm/4時間 LC50吸入ラット) + 80(%, CO2) / 167857 (ppm/4時間 LC50吸入ラット) )
= 3925 ppm/4時間 > 500 ppm/4時間
500ppmより大きいので、毒性ガスに該当しない。

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