カタールの二番目のヘリウム生産プラントの稼働が開始されたという報道がありました。
カタールは、ラス・ラファンにある二番目のプラント稼働により、世界最大のヘリウム輸出国になり、世界で二番目のヘリウム生産国となります。新しいプラントの生産能力は1.3 bcf( billion cubic feet)です。
すでに稼働中のプラントの生産能力 2 bcf と併せると、世界のヘリウム需要のおよそ25%をまかなうことができます。
へリウムの精製装置は、カタールガス社とラスガス社の共同所有ですが、ラスガス社が操業を行います。
2番目のヘリウムプラントは、2005年に稼働を開始した1番目のプラントに比べて、精製能力が2倍あります。
すでに、ラスガス社は、エアリキード社・リンデガス社・岩谷産業の3社と長期供給契約(オフテイク)を結んでおり、生産されたヘリウムの引取り権益は、エアリキード社(仏)が50%、リンデガス社(独)が30%、岩谷産業(日)が20%となっています。
関連記事・参考記事
RasGas' Helium 2 Plant Starts Production (ラスガス社 プレスリリース)
Linde starts delivery from largest helium facility in the world(リンデ社 プレスリリース)
Qatar: start-up of world's largest helium unit (エア・リキード社 プレスリリース)
カタール国 ヘリウム輸入権益の取得について(岩谷産業 2010年)
QATAR TO BE WORLD'S SECOND LARGEST HELIUM PRODUCER (カタールガス社 プレスリリース 2010)
国内では、昨年(2012年)の11月から深刻なヘリウム不足に見舞われ、それが半年程度継続しました。現状では、最悪の時期は脱した状態ですが、世界のヘリウム需要は増している一方で供給は追い付いていません。また、生産プラントの老朽化や生産国の資源戦略変更の影響などで供給が不安定化しているため、今回のカタールのヘリウムプラント稼働のニュースは明るい話題と言えます。
今年の8月には、米国で新しいヘリウム生産プラントが稼働する見込み(*1)であり、他に、アルジェリア、インドネシア、ロシアでの新プラント建設が計画されています。
*1)大陽日酸、ヘリウム 米で8月生産開始、ひっ迫に対応 - 化学工業日報 2013年05月13日
上記のグラフは、Selling the Nation's Helium Reserve ( The National Academies Press, 2010 ), を参考に作成しました。
推定されている埋蔵量は、採掘が経済的に見合うものも見合わないものも含めての数字です。
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