高圧ガスの移動(法令)・輸送
*平成28年11月1日付けで一般高圧ガス保安規則の一部が改正され、高圧ガスの移動について、変更がありました。
規則第五十条第一号、第八号、第十一号、第十三号中の「二十リットル」を「二十五リットル」に、「四十リットル」を「五十リットル」に改められました。
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概要
- 毒性ガスを含む場合
- 例:一酸化炭素、硫化水素など
-
- 警戒標(高圧ガスステッカー、毒)
木枠又はパッキン
イエローカード
防毒マスクなどの緊急防災工具
40℃以下
転落転倒防止
- 可燃性ガス又は酸素を含む大きいボンベの場合
- 例:アセチレン 7kgと酸素 7000Lなど
- 警戒標(高圧ガスステッカー)
イエローカード
消火器
緊急防災工具
40℃以下
転落転倒防止
- 不活性ガスのみで大きいボンベの場合
- 例:窒素ガス 7000L x 1本など
- 警戒標(高圧ガスステッカー)
40℃以下
転落転倒防止
- 可燃性ガス又は酸素を含むが小さいボンベ(25L以下)で少量(合計50L以下)の場合
- 例:酸素ガス 500L x 1本+アセチレン 0.5kg x 1本など
- イエローカード
40℃以下
転落転倒防止
- 不活性ガスのみで小さいボンベ(25L以下)で少量(合計50L以下)の場合
- 例:窒素ガス 1500L x 1本など
-
40℃以下
転落転倒防止
法令解説
高圧ガス保安法 第二十三条で高圧ガスの移動は規制されています。
- 高圧ガス保安法(昭和二十六年六月七日法律第二百四号) 第二十三条(移動)
- 1.高圧ガスを移動するには、その容器について、経済産業省令で定める保安上必要な措置を講じなければならない。
- 2.車両(道路運送車両法 (昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第一項 に規定する道路運送車両をいう。)により高圧ガスを移動するには、その積載方法及び移動方法について経済産業省令で定める技術上の基準に従つてしなければならない。
- 3.導管による高圧ガスの輸送について(略)
規制の詳細は経済産業省令に書かれています。
- 一般高圧ガス保安規則
(昭和四十一年五月二十五日通商産業省令第五十三号)
- 第六章 高圧ガスの移動に係る保安上の措置等
(移動に係る保安上の措置及び技術上の基準)
-
第四十八条 法第二十三条第一項 の経済産業省令で定める保安上必要な措置及び同条第二項 の経済産業省令で定める技術上の基準は、次条及び第五十条に定めるところによる。
よって、この経済産業省令:一般高圧ガス保安規則(以下、省令)の第四十九条と第五十条に詳細が書かれていることになりますが、第四十九条は「車両に固定した容器による移動に係る技術上の基準等」に関する記述であり、タンクローリーのような車両による高圧ガスの移動を想定しています。
一般の高圧ガス消費者においてはそのような車両によって高圧ガスの移動をすることはないと思いますので第四十九条に関する記述は省き、第五十条を下記に示します。
- 第五十条(その他の場合における移動に係る技術上の基準等)
前条に規定する場合以外の場合における法第二十三条第一項 の経済産業省令で定める保安上必要な措置及び同条第二項 の経済産業省令で定める技術上の基準は、次に掲げるものとする。
-
- 一 充てん容器等を車両に積載して移動するとき(容器の内容積が二十五
二十リットル以下である充てん容器等(毒性ガスに係るものを除く。)のみを積載した車両であつて、当該積載容器の内容積の合計が五十四十リットル以下である場合を除く。)は、当該車両の見やすい箇所に警戒標を掲げること。ただし、次に掲げるもののみを積載した車両にあつては、この限りでない。
- イ 消防自動車、救急自動車、レスキュー車、警備車その他の緊急事態が発生した場合に使用する車両において、緊急時に使用するための充てん容器等
- ロ 冷凍車、活魚運搬車等において移動中に消費を行うための充てん容器等
- ハ タイヤの加圧のために当該車両の装備品として積載する充てん容器等(フルオロカーボン、炭酸ガスその他の不活性ガスを充てんしたものに限る。)
- ニ 当該車両の装備品として積載する消火器
- 二 充てん容器等は、その温度(ガスの温度を計測できる充てん容器等にあつては、ガスの温度)を常に四十度以下に保つこと。
- 三 一般複合容器等であつて当該容器の刻印等により示された年月から十五年を経過したもの(容器保安規則第二条第十二号 に規定する圧縮天然ガス自動車燃料装置用容器、同条第十三号 に規定する圧縮水素自動車燃料装置用容器又は同条第十七号の二 に規定する圧縮水素運送自動車用容器にあつては、同規則第八条第一項第十号の充てん可能期限年月日を経過したもの)を高圧ガスの移動に使用しないこと。
- 四 充てん容器等(内容積が五リットル以下のものを除く。)には、転落、転倒等による衝撃及びバルブの損傷を防止する措置を講じ、かつ、粗暴な取扱いをしないこと。
- 五 次に掲げるものは、同一の車両に積載して移動しないこと。
- イ 充てん容器等と消防法 (昭和二十三年法律第百八十六号)第二条第七項 に規定する危険物(圧縮天然ガス又は不活性ガスの充てん容器等(内容積百二十リットル未満のものに限る。)と同法 別表に掲げる第四類の危険物との場合及びアセチレン又は酸素の充てん容器等(内容積が百二十リットル未満のものに限る。)と別表に掲げる第四類の第三石油類又は第四石油類の危険物との場合を除く。)
- ロ 塩素の充てん容器等とアセチレン、アンモニア又は水素の充てん容器等
- 六 可燃性ガスの充てん容器等と酸素の充てん容器等とを同一の車両に積載して移動するときは、これらの充てん容器等のバルブが相互に向き合わないようにすること。
- 七 毒性ガスの充てん容器等には、木枠又はパッキンを施すこと。
- 八 可燃性ガス、酸素又は三フッ化窒素の充てん容器等を車両に積載して移動するときは、消火設備並びに災害発生防止のための応急措置に必要な資材及び工具等を携行すること。ただし、容器の内容積が二十五
二十リットル以下である充てん容器等のみを積載した車両であつて、当該積載容器の内容積の合計が五十四十リットル以下である場合にあつては、この限りでない。
- 九 毒性ガスの充てん容器等を車両に積載して移動するときは、当該毒性ガスの種類に応じた防毒マスク、手袋その他の保護具並びに災害発生防止のための応急措置に必要な資材、薬剤及び工具等を携行すること。
- 十 アルシン又はセレン化水素を移動する車両には、当該ガスが漏えいしたときの除害の措置を講ずること。
- 十一 充てん容器等を車両に積載して移動する場合において、駐車するときは、当該充てん容器等の積み卸しを行うときを除き、第一種保安物件の近辺及び第二種保安物件が密集する地域を避けるとともに、交通量が少ない安全な場所を選び、かつ、移動監視者又は運転者は食事その他やむを得ない場合を除き、当該車両を離れないこと。ただし、容器の内容積が二十五
二十リットル以下である充てん容器等(毒性ガスに係るものを除く。)のみを積載した車両であつて、当該積載容器の内容積の合計が五十四十リットル以下である場合にあつては、この限りでない。
- 十二 前条第一項第十七号に掲げる高圧ガスを移動するとき(当該ガスの充てん容器等を車両に積載して移動するときに限る。)は、同項第十七号から第二十号までの基準を準用する。この場合において、同項第二十号ロ中「容器を固定した車両」とあるのは「当該ガスの充てん容器等を積載した車両」と読み替えるものとする。
- 十三 前条第一項第二十一号に規定する高圧ガスを移動するとき(当該容器を車両に積載して移動するときに限る。)は、同号の基準を準用する。ただし、容器の内容積が二十五
二十リットル以下である充てん容器等(毒性ガスに係るものを除き、高圧ガス移動時の注意事項を示したラベルが貼付されているものに限る。)のみを積載した車両であつて、当該積載容器の内容積の合計が五十四十リットル以下である場合にあつては、この限りでない。
五十条第一項第十二号で前条第一項第十七号から第二十号までを準用するとあり、また、五十条第一項第十三号で前条第一項第二十一号に言及していますが、その詳細は下記になります。
- 第四十九条(車両に固定した容器による移動に係る技術上の基準等)
-
- 十七 次に掲げる高圧ガスを移動するときは、甲種化学責任者免状、乙種化学責任者免状、丙種化学責任者免状、甲種機械責任者免状若しくは乙種機械責任者免状の交付を受けている者又は協会が行う高圧ガスの移動についての講習を受け、当該講習の検定に合格した者に当該高圧ガスの移動について監視させること。
- イ 圧縮ガスのうち次に掲げるもの(ハに掲げるものを除く。)
- (イ) 容積三百立方メートル以上の可燃性ガス及び酸素
- (ロ) 容積百立方メートル以上の毒性ガス
- ロ 液化ガスのうち次に掲げるもの(ハに掲げるものを除く。)
- (イ) 質量三千キログラム以上の可燃性ガス及び酸素
- (ロ) 質量千キログラム以上の毒性ガス
- ハ 特殊高圧ガス
- 十八 前号の移動監視者は、高圧ガスの移動を監視するときは、常に前号の免状又は講習を修了した旨を証する書面を携帯しなければならない。
- 十九 第十七号に掲げる高圧ガスを移動するときは、あらかじめ、当該高圧ガスの移動中充てん容器等が危険な状態となつた場合又は当該充てん容器等に係る事故が発生した場合における次に掲げる措置を講じてすること。
- イ 荷送人へ確実に連絡するための措置
- ロ 事故等が発生した際に共同して対応するための組織又は荷送人若しくは移動経路の近辺に所在する第一種製造者、販売業者その他高圧ガスを取り扱う者から応援を受けるための措置
- ハ その他災害の発生又は拡大の防止のために必要な措置
- 二十 第十七号に掲げる高圧ガスを移動する者は、次に掲げる措置を講じてすること。
- イ 移動するときは、繁華街又は人ごみを避けること。ただし、著しく回り道となる場合その他やむを得ない場合には、この限りでない。
- ロ 運搬の経路、交通事情、自然条件その他の条件から判断して次の各号のいずれかに該当して移動する場合は、交替して運転させるため、容器を固定した車両一台について運転者二人を充てること。
- (イ) 一の運転者による連続運転時間(一回が連続十分以上で、かつ、合計が三十分以上の運転の中断をすることなく連続して運転する時間をいう。)が、四時間を超える場合
- (ロ) 一の運転者による運転時間が、一日当たり九時間を超える場合
- 二十一 可燃性ガス、毒性ガス又は酸素の高圧ガスを移動するときは、当該高圧ガスの名称、性状及び移動中の災害防止のために必要な注意事項を記載した書面を運転者に交付し、移動中携帯させ、これを遵守させること。
ここで、「充てん容器等」とは、「充てん容器」と「残ガス容器」を合わせたものを指します。(一般高圧ガス保安規則 第六条四十二項)
- 一般高圧ガス保安規則 第六条
- 四十二 容器置場並びに充てん容器及び残ガス容器(以下「充てん容器等」という。)は、次に掲げる基準に適合すること。
充てん容器と残ガス容器の定義は一般高圧ガス保安規則第二条に下記のように定められています。
- 十 充てん容器
- 現に高圧ガス(高圧ガスが充てんされた後に当該ガスの質量が充てん時における質量の二分の一以上減少していないものに限る。)を充てんしてある容器
- 十一 残ガス容器
- 現に高圧ガスを充てんしてある容器であつて、充てん容器以外のもの
ここで、「高圧ガス保安法及び関係政省令の運用及び解釈について(内規) 平成 19・06・18 原院第2号」に書かれている関連する内容を抜粋しておきます。
- (2) 一般高圧ガス保安規則の運用及び解釈について
- 第二条第一項第11号中残ガス容器について
残ガス容器とは、第10号の充てん容器以外の容器であって、残存しているガスが気体の状態のガスのみであって、その圧力が温度35度において 1 MPa 未満である場合の容器は含まれないが、客観的に反証のない限り、充てん容器以外の容器は残ガス容器と推定して取扱うものとする。
<これより一つ新しい記事:エチレンオキシドの関係法令
これより一つ古い記事:医療用窒素 medical nitrogen >
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